サンゴ礁学ニュース

2009年12月03日UP

サンゴ礁学会に行ってきました

A02班鈴木・B01班島村です。
11月26日から29日まで、沖縄県国頭郡本部町の町立中央公民館にて、日本サンゴ礁学会第12回大会が開催されました。
口頭発表51件、ポスター発表109件、その他に新学術領域のワークショップや地球温暖化に関するシンポジウムも開催されました。新学術領域に関わる若手研究者も、これまでの成果を発表してきました。

White syndromeの症状の進行とサンゴ体内の素過程の変化 (鈴木)

White syndromeを発症したエダコモンサンゴ2007年に沖縄県備瀬において、組織が白く変色して壊死してしまう、white syndromeという病気を発症したエダコモンサンゴ(右写真)が観察され、以来毎年同じ症状のサンゴが見つかっています。今回我々は、組織を細かく分け、組織に含まれる褐虫藻の色素量、感染しているバクテリアの種組成、細胞内のタンパク質分解酵素の活性を調べることで、サンゴの病気の進行メカニズムを明らかにすることを目指しました。今回の発表では、判明した病原菌の感染メカニズムや分析によって得られた新たな知見について報告しました。


サンゴ骨格中安定同位対比のモンスーン指標への応用 (島村)

 

熱帯〜亜熱帯浅海域に生息する造礁性サンゴは、生存期間が長く、年間の骨格形成が大きいため、過去の環境記録を連続的かつ高い時間解像度で有しています。特に骨格の炭酸カルシウムを構成する酸素の同位体比は形成時の水温および海水の酸素同位体比によって決定されるため、過去の水温・塩分の変動を復元するのに利用されてきました。一方で骨格の炭酸カルシウムを構成する炭素の同位体比には複数の制御要因があるとされ、未だ制御要因と同位体比との定量的関係が明らかになっておらず、環境を復元するための情報としてほとんど利用されていません。そこで季節変化が明瞭なモンスーン海域のサンゴ骨格を用いて、酸素および炭素の同位体比のモンスーン指標としての可能性を検討・報告しました。

サンゴ骨格のエックス線写真
 

今年夏の調査で採取されたサンゴ骨格のエックス線写真。縞の様に見える白黒の濃淡が年輪です。


備瀬から望む伊江島
学会では他の研究者の方々からさまざまなご指摘ご意見を賜りました。今回の経験を基に、さらに研究を重ねて行きたいと思います。
A02班 鈴木利幸・B01班 島村道代



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2009年10月16日UP

調査はやっぱり夏に

P7120061.jpgC01班の本郷です.

私の目からみた,この夏の調査について紹介します.

これまで10年近く白保で調査をしていましたが,
今回ほど頻繁に多くの研究者に出会った夏はなかったと思います.
地球科学,生物学,化学,工学,考古学・・・など,多岐にわたる分野の人たちが入れ替わり立ち替わりして,調査をしていたことが印象に残ります.
私はというと,この夏の沖縄調査日数を数えてみると,64日でした.
もっとも,長期間いたため様々な人たちの動きを見れたのかもしれません.

この夏の間に,私は地球温暖化とサンゴ礁の応答のテーマの中で,
1.海面上昇とサンゴ礁形成,2.地球温暖化とサンゴ群集の経年変化,
3.海洋酸性化とサンゴ群集について他機関の研究者や学生と取り組みました.

 1.についてはサンゴ礁ボーリングを行い,
 2.については測線調査やコドラート調査を行い,
 3.についてはチャンバー実験や採水を行いました.
P8140086.jpg
テーマごとにアプローチ方法やバックグラウンドが異なり,
頭の切り替えが大変だったと感じました.時には,同時並行で調査が進むため,
全体の流れを把握して,効率良く行うにはどうすれば良いのか悩みました.
ただ,私の性格上,途中まで考えてなんとかなりそうな手ごたえがあると,
そのまま進めてしまうので,労力の無駄や,時間のロスがけっこうありました.
この点は反省すべきことで,次回に活かしたいと思います.

調査から戻りまだ一か月とそれほど研究成果がでているわけではありませんが,
今年のサンゴ礁学会では,これまでのデータをふまえながらいくつかの研究発表を行います.
1.海面上昇とサンゴ礁形成→本郷・茅根
2.地球温暖化とサンゴ群集の経年変化→波利井・井手・本郷・茅根
3.海洋酸性化とサンゴ群集→山本・山内・本郷・茅根・渡邉・所・加藤・根岸・野崎


この夏の調査を通して思ったことは,真っ赤に日焼けしても,
痛いほど蚊にさされても,調査は夏がベストシーズンだということです.
宿を出て白保の浜に降りていく農道を,太陽に照らされながら車で降りていくときに,毎日こんな生活が続けばよいなぁと思っています.8/14には,日の出直後に白保にてボーリング調査を行いましたが,
その風景はとくに目に焼き付いています.

夏がベストといっても,季節変化を追う研究などは,夏に限らず調査をする必要があります.
私は,この12月に別の調査で種子島や喜界島に向かう予定です.
ドライスーツなど持っていない私は低水温が心配ですが,
そんな環境で頑張って成長しているサンゴの身になって調査をしてきます.
そして,「調査は冬がベストだ」とブログに書いてみたいと思います.


C01班ポスドク 本郷宙軌

posted by サンゴ礁学事務局 at 15:36 | Comment(0) | 若手の会から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月08日UP

B02班夏の調査

coralreefscience-2009-09-08T12_15_51-1.jpgcoralreefscience-2009-09-08T12_15_51-2.jpgこんにちは。B02班の緑川です。

B02班(考古学班)ではこの夏、石垣島名蔵地区においてボーリング調査を実施しました。
名蔵地区には、春の巡検でもご案内した大田原遺跡(3500−4000年前)や神田貝塚(1000−2000年前)などの先史時代遺跡が比較的多く分布しています。今回の調査は、そうした遺跡が営まれた時期の環境復元や、現在に至るまでの地形発達史に関するデータを収集することを目的として行われました。とはいえ、通常の考古学調査(発掘調査)とは、「掘る」と言っても全く勝手が違っていて、悪戦苦闘の日々が続きました。掘ること自体は、プロの方が機械を使ってやってくださるのですが、あがってきた径6−7cmのコアを包丁で半裁し、土層を観察して記録し、サンプルを採取するというのは、全く初めての作業であり、しかもコアは土の質によって伸び縮みするので、そのたびにどのように対処したらよいのか皆で頭を悩ませました。しかし調査の終盤にはだいぶ慣れてきて、土層の観察も皆で意見を出しながら素早く行えるようになりました。調査の結果が出てくるのは、まだまだ先になりますが、苦労を重ねた分、何が出てくるか今から楽しみです。

私個人としては、このほかに現生標本作成用に漁師さんからお魚を購入したり、名蔵湾沿岸で魚類の分布調査を行っている方にお話を聞いたり、名蔵湾沿岸の遺跡出土資料を少し閲覧させてもらったりという作業も行いました。お魚の購入はとてもうまくいき、20kg分もゲットすることができました(がんばって標本にするぞ!)。今後は、これらの情報も生かしつつ、個人的には、「先史時代における名蔵湾沿岸海域の海産資源利用」について研究していきたいと思います。

写真は、ボーリング機材設置の様子と購入したお魚さんたちです。

B02班 緑川弥生
posted by サンゴ礁学事務局 at 12:16 | Comment(0) | 若手の会から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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