サンゴ礁学ニュース

2010年01月25日UP

冬のサンプリング

A02班ポスドク研究員、琉球大学の樋口です。
サンゴ礁研究者にとって、冬期はシーズンオフのように感じる方がいるかもしれませんが、冬もサンプリングは行っています。
今回は先日行った冬のサンプリングについて。。

沖縄といえども12−2月は寒く感じる日も多く、気温では10℃付近になることがあります。
水温はそこまで下がることはありませんが、北風が常にあたっているようなリーフの内側では約15℃と比較的低い水温も記録されています。
生息環境には18−30℃が適当と言われているサンゴにとって、高水温ストレスが問題視されることが多いですが、あまり冷たすぎる海というのも問題のようです。
冬に水温の下がる本州など温帯域では、サンゴが越冬できるかが、生息域を決める大きなポイントだと言われています。
また、地球温暖化により、サンゴが北上しているというのは低水温ストレスの軽減が関係していると考えられています。

さて、冬のサンプリングは、寒さのストレスを感じたサンゴが持っている情報を捕まえるのが目的。
なぜ低水温はサンゴにストレスとなるのか、高水温とメカニズムは違うのかなどを調べることで、サンゴがストレスを感じる際の情報を増やしていけたらと考えています。
手法は様々ですが、具体的には、サンゴの持つ元素組成の違いをみたり、酵素活性の違いを見たり、、

ただ、冬のサンプリングは、ご想像のとおり、けっこう寒いので、我々にとってもストレスとなります。。。
また、北風が強くなり、海が荒れやすいので天候調整が必要な事が多かったり、、
作業を迅速に行い、水に浸かっている時間をできるだけ短くするなど、対策を立てて臨んでいます。
もう少し、寒い日が続きそうですが、良い準備をして、寒さに負けずサンプリングを続けられればと思っています。

本プロジェクトが始まって1年が経ち、少しずつではありますが、成果も出始めています。
次回の更新では、その成果についても紹介できればと思います。

A02 樋口富彦(琉球大)
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2009年12月09日UP

あの夏の日々

B02班の深山です。

ご存知の通り、「サンゴ礁学」を構成する6つの班でB02班は唯一の文系班です。だからB02班自体を異質だと感じられている方も多いかと思いますが、その中でも特に「浮いている」感が否めないのは(当事者も!)、文化人類学チームではないでしょうか。真冬に真夏に行われた調査を語ることも野暮な気もしますが、そんな距離感を縮めるべく、記憶の糸をたどり寄せて文化人類学的調査の雰囲気をわずかでもお伝えできたらと思います。

8月後半の石垣島調査では他のメンバーと予定が合わなかったこともあって、文化人類学チームといっても基本的には私ひとりでした。文化人類学は10年、20年スパンで対象地域を調査研究することを前提に、現地の社会・文化の在り方や現地住民の捉え方を核に物事を考える学問です。今回のような初調査(春の全体巡検をカウントしていません)の際には、ひたすらに歩き/動き周り、いろいろな住民の方々にご挨拶をし、少しずつ土地勘を養いネットワークを広げていく以外に近道はありません。住民のご厚意や幸運に恵まれたこともあって、二週間弱という短い時間の中で、考古学チームと一緒に四箇村の豊年祭に参加したり、元・気象庁勤務のA氏と全島に散在する御嶽(オン)を訪ねたり、新聞記者のB氏と台湾系移民の墓地を訪ねたり、元・棟梁のC氏から昔の家や墓の構造について伺ったり、農林高校のE先生に民具・農具や牛・豚を見せて頂いたり、と幅広い経験をしました。その過程で、予想以上にサンゴ(礁)に直接関係する情報も得ることができました。

本『サンゴ礁学』は「サンゴ礁⇔人」という相互作用の実態を解明することを課題に位置付けており、文化人類学者の私に課せられている使命は現時点ではまず、「現地住民がサンゴ(礁)」をいかに資源として利用してきたか/してこなかったか」を明らかにすることにあると考えています。この夏の調査でその「現地住民」が、台湾系移民、沖縄本島系移民、八重山諸島系移民など実に多様な人々で構成されていること、サンゴを建築「石」材として家屋や墓に積極的に利用してきたこと、サンゴ(礁)を時に漁業の「障害」として破壊対象として位置づけてきたこと、がリアルな経験や色鮮やかな記憶とともに明らかになってきました。「人とサンゴ礁の新たな共生・共存系構築」に、研究者の「鳥の眼」だけではなく、現地住民の「虫の眼」が活かされるべく、他の班の皆さんと議論を積み重ね、「浮いている」感を楽しみながら、焦らずに地道な調査を継続したいと思います。

kikumeishi.jpg@nagura.jpg@hounensai.jpg








写真は順に、四箇村の豊年祭のひとこま、遠方からの名蔵の名蔵御嶽、過去に礎石として使用されたキクメイシ、です。
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2009年12月07日UP

日本サンゴ礁学会「若手研究会」

PB260641.JPGA02班、琉球大学の樋口です。

先日行われた日本サンゴ礁学会12回大会の自由集会枠を利用し、
日本サンゴ礁学会「若手研究会」を開催しました。


「サンゴ礁学」第3回若手研究会を兼ねてではありましたが、せっかく大会期間中にやるなら、サンゴ礁学に関わる若手研究者だけでなく、日本中のサンゴ礁に関わる若手研究者を集めようということで、企画致しました。

内容は以下のとおり

「サンゴ礁学」からは、A01湯山、A02樋口、C01井上の3名が話題提供致しました。
PB260640.JPG
日本サンゴ礁学会「若手研究会」
 
オーガナイザー:樋口富彦 (琉球大)  
*話題提供
1.湯山育子 (琉球大)
Molecular Analysis of Symbiosis and Stress Response Using Coral JuvenilesIMG_0411.JPG
2.山下洋 (広島大)
「褐虫藻側から見る,動物-褐虫藻共生系」
3.牧野梓 (慶應大)
Genotyping the Symbiodinium communities in healthy and diseased Montipora capitata from Kaneohe Bay
4.和田直久 (日本大)
「沖縄におけるサンゴ疾病の病因特定 予備的検討と今後の課題について −」
5.加藤亜記 (琉球大)
「殻状紅藻類(サンゴモ,イワノカワ類)−サンゴ礁の縁の下の力持ち−の分類学的研究」
6.Keshavmurthy Shashank (Biodiversity Research Center, Academia SinicIMG_0410.JPGa)
Research Activities at Coral Evolutionary Ecology and Genetics Laboratory - An Introduction
7.井上志保里 (東京大)
「測線調査でみてきたこと」
8.服部昭尚 (滋賀大)

「景観から生息種数を予測する?航空写真を使ったフィールドワークの紹介」
9.樋口富彦 (琉球大)
「サンゴ礁沿岸域における陸水の影響−沖縄備瀬海域を例として−」

サンゴ礁学会の若手会らしく、生物・地学・化学からと様々な分野からの研究発表IMGP1416.JPGではありましたが、質疑応答も盛り上がり、予定を30分もオーバーしてしまいました。。
しかも、予想以上の参加を頂き、立ち見がでるほどの盛況で!
若手の集まりということもあり、遠慮なく意見を言い合うことで、新たな知識を得られたり、良い刺激を受けることもできました。
懇親会もたくさんの方に参加頂き、若手間の交流がより深まったのではないでしょうか。
この会が、今後なんらかの共同研究のきっかけになるようであれば幸いです。

今後も、サンゴ礁学という枠にとらわれず、サンゴ礁に関わる多くの研究者と交流IMGP1415.JPGを深め、より良い研究を進めていければと思います。

A02 琉球大学 樋口富彦
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